02:鎖骨に溜る水滴(おんじとおみずA)


※大学生のおみずとおんじです。













サァー。


少し冷ための温水にしてシャワーを浴びる。
頭を冷やす為だ。
飲みすぎたからではない。
普段から、瑞垣は飲みすぎたからといって、翌日までその影響を引きずることは滅多になかった。
二日酔いの経験すらあまりない。




本当に油断した。


どうも海音寺が近くにいる時に、自分が油断しきってしまうのを自覚していた。
さっきも思わず口をついて出てきてしまった。
海音寺の独特の雰囲気がそうさせているのだと気付いた時には、もう手遅れなぐらい慣れ切ってしまっている。


考える。
考える。

かんがえる。


か ん が え る 。






そもそも俺はココに来て何をしているんだ。
何をしにココに来たんだ。

ヤラれて、ぐだぐだ続いて、挙句、振られて、遣り切れなくて、
うじうじ、うじうじ、ぐじぐじ、ぐじぐじ、と。
おんなのようだ。
女々しい自分が嫌なほどはっきりと見える。


サァー。


冷えたぬるま湯が肌に当たる。
身体が冷えて頭も冷える。

うじうじ、うじうじ、ぐじぐじ、ぐじぐじ、







*







「瑞垣?」


シャワーを浴びると言って、風呂場へ行ったまま戻ってこない瑞垣が心配になって見に行くと、曇りガラス越しに サァー 、とシャワーの水音だけが聞こえる。
名前を呼びかけても返事は、 ない 。


「おい、瑞垣? 開けるぞ。」


からから、
何だか気の抜けるような音をして、曇りガラスの引き戸を開ける。
サァー、
出しっぱなしのシャワーの音が響く。


「瑞垣!?」


流れるシャワーの水に当たりながら、瑞垣は床にしゃがみこんでいた。
海音寺の足に触れるシャワーの流れは冷たく、冷水だった。
驚いて瑞垣の肩に触れると、これ異常ないくらいに冷え切っていた。
青白くなった顔、唇などは凍えて紫になっている。


「瑞垣!何しとるんじゃ!?」


肩を揺さぶって呼びかけてみるが、がちがち、と歯の根が合わないほど震えている。
とりあえず凍えきった身体を温めようと、急いでシャワーの温度を上げ、お湯を流す。
瑞垣は、ぴくり、とも動かない。


「おい!瑞垣!」


海音寺は、このままでは埒があかないと、シャワーを止め瑞垣に頭からバスタオルを被せる。
わしわし、と乱暴に頭を拭き、大きなバスタオルで瑞垣を包み、そのまま身体を持ち上げた。







*







ベッドの上に瑞垣の身体を下ろすと、やっと気が付いたようで、うっすらとその目が開く。
しかしその瞳はまだ、焦点が合わずぼんやりと空を見ている。


「・・・・海、音寺。」


むくり、と瑞垣が起き上がる。
瞬間、まだ濡れたままの髪の毛から、ぽたり、と一雫こぼれ落ちた。

その一滴は、肩を伝い、浮き出た鎖骨で留まる。


何故だか、すごくそれが気になった。












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